
やり直していたある日、当時の同僚から一冊の本を渡された。
斎藤一人さんの本だった。
「日本一の納税者、実業家だからおすすめだよ」と言われた。それだけだった。特に長い説明はなかった。
家に帰って、開いた。
最初に目に入った言葉が、「考え方を変えれば、現実が変わる」だった。
正直に言う。
「そんなものか」と思った。
現実は現実だろう、と。借金は消えない。実績はない。考え方を変えたところで、数字は変わらない。お客さんが増えるわけでも、借金が減るわけでもない。そういう気持ちが、先に来た。
でも、本を閉じなかった。
他にやれることもなかった、というのが正直なところだ。あの時の自分には、選択肢がそんなに多くなかった。だから、とりあえず真似してみようと思った。信じなくていいから、やってみよう。
口に出す言葉を変えてみた。
ネガティブな言葉が出そうになったら、飲み込んで、別の言葉に替えた。「ついてる」「ありがとう」「うまくいってる」。最初は空々しかった。本気でそう思えているわけじゃなかった。声に出しながら、自分でも半信半疑だった。
でも続けた。
続けられたのは、この後に起きたことのためでもあった。
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