
その頃、大切な人を亡くした。
誰かは書かない。でも、自分の中で大きな場所を占めていた人だった。
知らせを受けた時のことは、今でも思い出せる。でも、その時何を感じたかは、うまく言葉にできない。悲しみ、という言葉では足りない。喪失、という言葉も、何か違う。ただ、世界のどこかに、大きな穴が空いた。
しばらくの間、何もかもが遠かった。でも、その横では家族が笑っていた。守らなければならない人たちがいた。泣いている場合じゃなかった。何とも言えない気持ちのまま、仕事を続けた。
仕事をしていても、どこか別の場所にいるような感じがした。人と話していても、声が少し遠かった。
でも、ある夜、はっきりと思ったことがある。
「この人に、安心してほしい」
「誇れる人間でいたい」
その気持ちが、じわじわと湧いてきた。泣きながら、そう思った。続けなければ、と思った。この人のために、続けなければと思った。
斎藤一人さんの言葉を真似することも、続けた。
本気で信じていたわけじゃなかった。でも、あの人に安心してほしかった。だから続けた。信じる・信じないより、続けることの方が先だった。
人が本当に動ける時は、自分のためだけじゃない時だと思う。
あの死別が、自分を動かし続けた理由の一つになった。