
36歳の時、リフォーム業を始めた。
自分から選んだわけじゃなかった。リフォームの営業をしないかと誘われ、当時の仲間にリフォーム業の経験者がいた。流れで入った、という方が正直だ。
家に関する知識は、ゼロだった。
でも、営業さえできれば何とかなると思っていた。
実際、その通りだった。
動き始めてすぐに気づいたことがあった。
これまで積み上げてきたものが、ここで全部使えた。
営業の経験があった。言葉への意識が変わっていた。人との関わり方が、以前とは少し違っていた。
「ついてる」「ありがとう」と言い続けた日々が、まさかこういう形で返ってくるとは思っていなかった。
やりたいことから始めなくてもいい。続けてきたことが、機会に変わることがある。あの時そう思った。
お客さんと話す時、相手が何を不安に思っているかが、前より感じ取れるようになっていた。「リフォームしたい」という言葉の裏に、「騙されたくない」「高い買い物を後悔したくない」「家族に安心してほしい」という気持ちがある。
そこに、ちゃんと向き合った。
少しずつ、お客さんが増えた。紹介が来るようになった。「えふさんに頼みたい」と言ってもらえるようになった。
会社が動き始めた。
数字が出ることより、「この人に頼んでよかった」と言ってもらえることの方が、うれしかった。あの言葉が、次の日も動く理由になっていた。
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