創立者の物語 第2話 7歳で「外国人」になった日 - あすハピ|明日もハッピーに

日本に着いた日のことを、今でも覚えている。

空気が、違った。

匂いが違う。音が違う。人の顔が違う。街の色が違う。「違う」という言葉しか出てこないくらい、すべてが違った。

大人たちは「帰ってきた」と言っていた。でも自分には、帰ってきた感覚がまったくなかった。知らない場所に、連れてこられた。そっちの感覚の方が正直だった。

小学校に入った。

言葉は少しわかった。でも「少しわかる」と「自然に話せる」の間には、深い溝があった。クラスメイトが笑っている時、自分だけ一拍遅れて笑う。会話のテンポについていけない。何かを言おうとすると、言葉より先に「これで合ってるか」という不安が来る。

「どこから来たの?」

何度も聞かれた。

その質問が嫌いだったわけじゃない。ただ、答えるたびに「あ、自分はここの人間じゃないんだ」と気づかされる感じがあった。中国人でもなく、完全な日本人でもなく、どちらにも完全には属せない。宙ぶらりんの感覚。

それが、自分の子ども時代の、正直な感触だった。

でも今は思う。

あの宙ぶらりんが、自分を作ったと。どこにも完全に属さないということは、どこからでも物事を見られるということだった。中にいる人間には見えないものが、外から見ると見える。それが後になって、仕事でも、人との関わりでも、自分の強みになっていった。

あの頃はそんなこと、知る由もなかったけれど。

馴染むのに時間がかかった。でも、馴染もうとし続けた。

それが自分の、最初の「諦めない」だったかもしれない。

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