
46歳の時、仲間に任せていた会社が業績不振で閉鎖することになった。
当時、自分はその会社にまったく関わっていなかった。
鬱を抱えながら別の仕事を動かしていた時期で、会社の現場からは離れていた。社員たちのことも、ほとんど知らなかった。顔もわからない人間が多かった。
それでも、連絡を受けた時、最初に頭に浮かんだのは数字でも、手続きでもなかった。
残った社員たちの顔だった。
その人たちは、会社を信じて働いてきた。自分の都合で辞めたわけじゃない。閉鎖という状況に、巻き込まれた。そういう人たちの中に、まだここで働き続けたいと思っている者がいた。
自分にできることがある、と思った。
知らない人間たちだった。でも、それは関係なかった。
新しく会社を設立して、リフォーム業を再開することにした。その人たちの受け皿を作ろうと思った。
自分のためじゃなかった。
誰かのために動く時、人は不思議と強くなる。しんどい状況でも、大切な人の顔が浮かぶと足が動く。それを、また体で確認した。
鬱から完全に抜け切れていたわけじゃなかった。でも、動いた。
動く理由が、外にあった。それで十分だった。