
起業してすぐ、思い知ったことがあった。
「準備してきた」と思っていたが、実際に自分で会社を動かすことと、会社員として働くことは、まったく違う話だった。
決まったレールがない。誰も答えを持っていない。うまくいかなかった時に、責任を取るのは自分だ。
最初の頃は、正直しんどかった。
でも、やめようとは思わなかった。
思ったようにいかないことがあるたびに、「なぜうまくいかなかったか」を考えた。考えて、変えた。また試した。また考えた。
その繰り返しだった。
小さな改善が、少しずつ積み上がっていった。お客さんの反応が変わった。数字が動いた。「この方向で合っている」という感触が、少しずつ育ってきた。
充実していた。
しんどかったけれど、充実していた。この二つは矛盾しない。自分で決めて、自分で動いているという感覚が、毎日を支えていた。
誰かに言われたことをやっているのではなく、自分が考えたことを試している。その違いが、こんなにも大きいとは思っていなかった。
あの日々が、今の自分の土台になっている。
でも、充実した日々は、ある日突然、揺らいだ。