
29歳の時、決めた。
このまま「何かを探している」状態でいても、何も変わらない。だったら、今の自分に確実にできることをやろう。
営業力を身につけよう、と思った。
委託営業の世界に飛び込んだ。
最初は手探りだった。業界も、やり方も、人間関係も、すべてが新しかった。でも、動き始めるとわかってきた。人と話すこと、信頼を作ること、相手が何を求めているかを感じること。それは、自分の中にあるものだった。
少しずつ、評価してもらえた。
「お前はやれる」と言ってくれる人が現れた。数字が出始めた。「自分にはこれができる」という感覚が、あの3年間のうちに薄れていたところに、また戻ってきた。
手応えがあった。「仲間を集めて会社を興したらどうだ?仕事は振るぞ。」と声をかけてもらった。
次のステップが見えてきた気がした。このまま個人で動き続けるより、法人化して、もっと大きく動いた方がいい。そう思い始めた。
ここまでの経験がある。評価もされている。今度こそ、うまくいく。
そう思っていた。
人間は、同じところで転ぶことがある。でもその時はまだ、自分がそういう人間だとは思っていなかった。